2011-01-01から1年間の記事一覧

レーニン2

レーニンは「なにをなすべきか」において革命党の組織論を論じた。その論理展開では、経済主義・組合主義のような大衆闘争は政治闘争に転化しないという彼の自論が、一貫した前提となっている。そして同じ理屈を革命論として語ると、議会主義的改良に消耗す…

ローレンツ変換式

ローレンツ変換式は、静止慣性系Sの時空座標(x,t)で、速度vで移動する移動慣性系S’の時空座標(x’,t’)を表現する式である。導出要領を以下に示す。 最初に、以下の式を前提する。 x2t2 = x’2t’2 = c2 ・・・前提式1:異なる慣性系…

唯物論3(対象の質料)

唯物論とは、物質を論理の基礎に置く思想である。つまり唯物論は論理の規定的優位を、根源的に物質に対し認める。この物質の英語表記は、matterもしくはmaterialだが、ギリシャ語ではhyleである。hyleは、materialと同義の「材料」や「素材」を意味する。そ…

唯物論2(対象の形式)

物質は意識の他在である。この物質を論理の基礎に置く思想が、唯物論である。したがって唯物論は、意識が自らにより自らを基礎づけるような観念論の自己満足を認めない。筆者はさらに、カント超越論のように、他在の形式を意識の形式と扱うのも、ハイデガー…

実存主義3

現象学としての実存主義において認識の進展は、弁証法とは反対に、発達ではなく派生として現われる。言い換えれば、認識の系統的進化は世俗的退化とみなされる。それは、本来という表現を低次の原初形態とみなさずに、あるがままの純粋形態と理解するような…

実存主義2

実存主義における人間は、永遠と瞬間が綜合する場である。キェルケゴールのこの提示に従って、ハイデガーはそれを現存在と呼んだ。キェルケゴールは、永遠を垣間見る充実した瞬間を現実存在と見ており、それから遊離して見える本質一般に虚実性を見出した。…

南京!南京!

「南京!南京!」 2009年 製作 中国 監督 陸川 主演 中泉英雄 南京事件を描いた中国映画「南京!南京!」は、筆者の予想に反し、堂々とした名作だった。もちろんこの映画は、中国の国策が要求する愛国反日路線の王道にいる。しかし陸川監督は、この映画を単…

頽落2

ハイデガーが頽落と表現した人間の堕落は、「存在と時間」における人間意識の時間性構造の分析で、人間的現在の一般的な在り方として登場した。人間は、世界から原因としての過去を強制的に適用させられる。これに対して本来の人間は、目的となる未来を世界…

ブレードランナー/アンドロイドは電気羊の夢を見るか

「ブレードランナー」1982年 製作アメリカ 監督リドリー・スコット 主演ハリソン・フォード 原作フィリップ・K・ディック 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」1968 映画「ブレードランナー」は、意図されたかどうかを別にして、原作を超えた作品に仕上…

時刻の非同時性(その2)

前の記事「時刻の非同時性」の主眼は、高速移動物体の空間表現がローレンツ収縮ではなく、ローレンツ伸張であるのを示すことにあった。結果的に、時刻ゼロのタイミングで光源が実際の空間的位置からずれるという不思議な状態を、課題として残した。また移動…

ローレンツ収縮

ローレンツ変換式は、高速移動に伴ない物体の質量増加・時間遅延・空間圧縮が発生するのを示したとされる。このうち、停止慣性系から見た移動物体の圧縮現象が、いわゆるローレンツ収縮である。しかしローレンツ収縮における移動物体の圧縮イメージは逆であ…

時刻の非同時性

特殊相対性理論が示すような移動慣性系における物体の空間圧縮、つまりローレンツ収縮のイメージは真逆である。実際には、移動慣性系における物体は空間伸張するはずである。したがって高速移動物体の空間表現を、ローレンツ収縮とするのは誤りであり、ロー…

逆立ちした弁証法(1)

ヘーゲル弁証法は逆立ちをしているというマルクスによる指摘は有名である。しかし筆者から見ると、マルクスがヘーゲル弁証法のどこが逆立ちしていると指摘したのかという肝心な点が、一般的に理解されている気がしない。というのは、マルクスの後継者だった…

時間的原子論

瞬間は、存在する時間において存在し、存在しない時間において存在しない。 空間の無い状態で物体が存在し得ないように、時間の無い状態で瞬間が存在し得ないのは、当たり前の話である。この当たり前を強調するのは、プラトンの瞬間論を念頭にしている。 瞬…

独我論

観念論の一つの極として独我論がある。独我論とは、事物や観念が認識主体の意識の内部にだけ現われることをもって、全ての存在者を認識主体の観念にすぎないとみなす理屈である。存在者が現われるのが意識の内部だけというのは、反論の余地が無い話である。…

霊魂

観念論、特に霊能者たちによる宗教との関係で唯物論がしばしば提示させられる話題に、霊魂や霊界の存在がある。霊魂とは肉体を離れた意識であり、霊界とは物質世界を離れた霊魂の世界である。この霊魂の代表格が神である。ここで言う神は、人間と無縁に独自…

隠れた変数

アインシュタインによる不確定性理論への生理的嫌悪は、隠れた変数理論として説明されている。この隠れた変数理論とは、言い換えれば、偶然は存在しないということであり、自由を錯覚とみなすものである。全ての運動を説明できると考えるなら、隠れた変数理…

e=mc²

4元座標での静止物体のエネルギー式 e=mc2 導出要領を以下に示す。 導出にあたり使用する表記記号は、以下である。 m : 質量 c : 光速 ur : 4元速度の時間成分 pw : 4元運動量 pr : 4元運動量の時間成分 px : 4元運動量の空間成分…

原子論2

先に記載した原子論の記事(無限分割の不可能性)では、万物を構成する最小単位としての原子の分割不可能性を、ゼノンのパラドックスから説明した。ここでは同じことを、物理学理論の面から検討し直す。 相対性理論では、停止した慣性系内の時間、つまり速度…

原子論

ここでは伝統的な哲学的原子論と現状の理論物理学の科学的世界観を照らし合わせる形で、原子論一般を整理する。 ゼノンのパラドックスとして有名なアキレウスと亀の話がある。アキレウスの前に亀が歩いており、アキレウスが亀のいた位置に到着しても、その間…

5次元世界

ここでは伝統的な哲学的宇宙観と現状の理論物理学や大脳生理学などの科学的宇宙観を照らし合わせる形で、形式理論一般を整理する。 カントより前の世界観では、例えばスピノザのように、宇宙は物質と叡智の2次元である。物質と叡智は、物質世界と意識世界の…

進化論2

ここでは、既に記載した進化論についての記事(遺伝子と進化)を前提にして、目的論的進化論を一部復権させる。目的論的進化論とは、なんらかの目的意識が生物進化をもたらす、という観念論的進化論である。宗教世界は、その目的意識をもっぱら神に扱ってい…

人間の物体化

ここで言う人間の物体化とは、人間が人の形をした単なる物体に成り下がることを示す。人の形をした単なる物体とは、自由を放棄した人間、もしくは自由を放棄させられた人間を指す。なぜなら人間存在の本質は、自由だからである。以下は、人間の物体化がどの…

頽落

頽落verfallenとは、人間的堕落のハイデガー的表現である。頽落という訳語は一般に馴染みの無い言葉なので、以下では堕落と表現する。ハイデガーにおいて堕落は、人間が自ら望む形で、人の形をした単なる物体に成り下がることを指す。そして人の形をした単な…

俗物

世間的には、時代遅れで目障りな知的凡人を指して俗物と呼ぶように見える。しかし以下では、特にその有害性に着目した俗物定義を行う。基本的に俗物は、自らを俗物と理解する能力をもっていない。ただし後日に自らを振り返って、自らの俗物性に気付く俗物は…

個別性と悲劇

自分の中でことあるごとに思い返す一番好きな言葉は、次のフレーズである。 「喜劇は隠されていた一般性の露呈であり、悲劇は隠されていた個別性の露呈である。」 これはアリストテレスの言葉である。この言葉を見かけたのは、ルカーチの美学の本の中での一…

忍者武芸帳

忍者武芸帳は言わずと知れた、60年安保当時に書かれた忍者漫画の最高傑作である。この漫画の内容と規模は、当時の大手出版社による漫画世界では、執筆および出版が不可能なものであった。それにもかかわらずこの異才作家白土三平の傑作劇画が世に出られた…

人間の意識

人間的意識とは、自らとの関わりが他者と関わるものである。 自らとの関わりとは、人間に限らない意識一般を指す。一般的意識が他者と関わることで、初めてそれは人間的意識となる。 キェルケゴールは、絶望の進化の弁証法が人間を自らの意識の内奥に導くこ…

自己欺瞞な理屈

合理化反対と言えば、非合理主義者に扱い、治安維持法反対と言えば、秩序破壊者に扱うという古典的デマゴギーがある。このようなくだらない理屈は、言葉の目指すものの真偽を別にして、発言者の品格を落とすものである。それを承知でデマゴギーを発信するの…

開示

ハイデガーは自らの哲学を解釈学と命名したことに、すでにハイデガーがとろうとした問題接近方法および解決方法を示している。それは対象をあるがままに捉え、それを解読すれば、おのずと対象の意味を得られる、というものである。これは師匠のフッサール譲…